山下の勤務記録

勤務記録を記します。

食肉工場でバイトしてきました

場所は大阪市西成区
単発で食肉工場のバイトをしてきました。

時間は9:30〜17:00で1時間休憩あり
バイト料は6500円
交通費支給はなし
白衣、安全靴、ヘッドキャップの貸出を行うとの記載があった。

駅から少し歩いたところにある工場。
着くとチャーシューのにおいがした。

合流して、工場内での服装について案内を受ける。
「えー今日スカートで来たのー?」と言われる。
まるっきり服を借りるものだと思っていた。
いま着てる服の上からこれを着てもらうの、とペラッペラの紙の白衣を渡される。
白衣を羽織って長靴を履いて、これまたペラッペラのヘッドキャップを渡された。髪をすべてペラッペラのヘッドキャップの中にしまい込む。
コロコロでヘッドキャップと白衣のホコリを取り、40秒間の手洗いを行う。
塩素に長靴のまま浸かり、6つの穴から出るエアーシャワーを両手を上げて浴びた。


持ち場につくとすでに従業員の方が作業を行っていた。
新たにビニールの腕輪と、帽子と、使い捨て手袋を両手2枚ずつはめるようにと渡された。

わたしの他にも単発バイトが1人いるはずだが、どの人か分からない。

ベトナムの人が多い職場のようだった。

しばらくすると「朝礼ーー!!」という呼びかけがあった。
みんなが大きな机の周りに集結する。

従業員は手のひらサイズの黒いノートを持っていた。
「朝礼!社訓読み上げ!」
今日はベトナムの女の子が読み上げを担当するようだった。

「食肉を通じて世界に貢献!」
\食肉を通じて世界に貢献!/
「創業者タニオカユタカの想いを!」
\創業者タニオカユタカの想いを!/
従業員が黒いノートの文字を追いながら復唱していた。創業者の辺りからニヤケが止まらず後からの内容が入ってこない。
ここで社訓の読み上げを行っていないのが、単発バイトの人だと分かった。めちゃくちゃ毛玉がついた白衣を着させられていてかわいそうだった。

社訓の読み上げが終わったかと思えば
「労働条件!」

「給料はお客様からもらっていることを理解する!」
\給料はお客様からもらっていることを理解する!/
「ボーナスは社員登用後、6ヶ月を経過したのちに支給されるものとする!ただし会社が黒字であること!支給の際、在職していることを条件とする!」
\ボーナスは社員登用後、6ヶ月を経過したのちに支給されるものとする!ただし会社が黒字であること!支給の際、在職していることを条件とする!/
「副業は、許可を得たのち行うものとする!許可なき副業は禁止する!」
\副業は、許可を得たのち行うものとする!許可なき副業は禁止する!/

内容が労働条件すぎてびっくりした。朝礼でここまで読み上げを行うとは。こうやって毎日刷り込んでいるのだなと少し悲しくもなった。

そして今日の作業内容の報告がされる。社訓と労働条件の読み上げに比べてえらくあっさりしていた。
ベトナムの男の子が「おわるまでやめません」と言っていた。


作業はトレーの上にスライス肉を乗せるというものだった。
冷凍肉を機械でスライスし、計量係の方が500グラムずつトレーに乗せてくれる。
わたしはその肉を2段にしてトレーに広げる作業をしたのだが、かなり手間取った。
8割が脂身のスライス肉なので、脂身同士が引っ付いてかなり剥がしにくい。
たまに脂身が9割もしくは9.5割のものがあり、その場合はほぼ脂。
「おわるまでやめません」と言っていた、どうやらリーダーっぽい青年にグッと手を掴まれ指導を受ける。
リーダーっぽい青年は慣れたもので、パラパラとほぐしてトレーに詰めていく。

そのあとリーダーっぽい青年から「あかみがおおいほうをうえにして!」と言われたのだが、どっちが赤身が多いのか分からず、それも何度か指導を受けた。

スライス肉の2段目が上達せず、4~5度リーダーっぽい青年の指導を受けた。
自分の不器用加減に落ち込む。

別で75歳くらいの男の人が1人で作業をしていて、その人は鶏の足を加工していた。

しばらくしてトレーが変わった。今度は1段でよくなった。
「これは〇〇におろす肉よ」と言っていたのが結構な大手だった。このご時世だと朝礼で言っていた黒字は難しいのかな、ボーナス出ないのかなと心配していたが、上手くいけばボーナスが出そうだった。

今度はトレー1段に並べるだけなのでとても快適に作業ができた。
個人的にはうまくやれているつもりだったのだが、見込みがねぇと分類されたのか、すぐにリーダーっぽい青年にスライス肉を並べる作業を外された。

リーダーっぽい青年の後をついていく。

ダンボールの前に移動した。

相当バカだと思われたのか、リーダーっぽい青年に
「このはこには20こパックはいります。いちだん4こはいります。20こにするにはなんだんいりますか?」
という問題を出された。
わたしは手をパーにして、「5段です」と答えた。

今度はパックしたスライス肉に、商品説明を乗せるのと、パックした肉を短いベルトコンベアで金属探知機に通し、ダンボール詰めをする作業になった。

それからパックを通していたのだが、ラップでくっついたパック同士が離れず、さらにそのまま手が滑ってしまい、2段重ねて金属探知機に流してしまった。
2段重なったパックが金属探知機につっかえ焦っていると、リーダーっぽい青年がきて「なんで2だんでながした?」と怒られた。こいつバカだなという顔をしていた。

あとは、途中でダンボール詰めを交替したとき、なんかパックの段がズレているなと思ったのだが、詰めていけばズレが解消されるかとそのまま詰めていると全くズレが解消されず、リーダーっぽい青年に「いまなんこいれた?」と聞かれて「すみません分からないです」と答え、「なんでわからない」と2分くらい詰められた。最終的にほかの人が間に入ってくれて話が終わった。横着はだめ。

リーダーっぽい青年に「じむしょではたらいてる?」と聞かれ、もう違うけど「ああ、はい」と答えると「やっぱりね、げんばはむずかしいからね」と言われた。

基本的に工場の中は冷凍肉を扱っているため、肉くさいにおいはあまりしないのだが、下水なのか機械なのか、たまにジイさんの口臭のにおいがした。

またしばらく経ってパックの上に商品説明を乗せる作業をしていると、リーダーっぽい青年になにか言われ、なんの注意かと聞き返すと「ぼくのヒジがあたっていたくない?」と聞いてくれていた。やさしい。

12時からお昼休憩になった。
メガネの女の人にトイレの場所を教えてもらった。
途中で「事務仕事してる?」と聞かれた。
「ああ、はい」と答えると、私もいつもは事務仕事なのよ。今日は人が足りなくてと言っていた。

お昼休憩の場所は、向かいのプレハブ小屋だった。
わたしはお昼の準備をしていなかったのでコンビニに買いに行った。

プレハブ小屋に戻るとメガネの女の人がいた。
話を聞くと、ここで事務を15年ほどしているらしい。
現場仕事に入る日本人は根性なくてすぐ辞めると言っていた。
単発だけでなく、長期の仕事も募集しているがなかなか決まらないのだとか。
単発の仕事でさえ、3人募集して1人しか来ないこともあるらしい。今日は1人来ていない。

さらに話を聞くと、ベトナムの方はみんな社員ではないらしい。
それならボーナスがもらえない。なのに、毎朝朝礼でボーナスについての規定を復唱させられているなんて。
どんな気持ちで毎朝復唱しているのだろう。

メガネの事務の女の人が「ちょっと出てくるわね」と言いプレハブ小屋から出ていった。

少し経って一緒に来ている単発バイトの人がプレハブ小屋に入ってきた。
たぶん歳は50代半ば、気のいい男の人だった。

そのあとはスライス肉の脂身が多くてバラしづらいとか、ずっと冷凍のスライス肉を触っているから手が冷たいとか、俺の着ている白衣に毛玉が多いという話をした。結構話が盛り上がった。

たまたま私服の色味が同じだったので、写真撮りましょうと言って撮ってもらった。

画像1


お昼休憩が終了し、現場に戻った。
75歳くらいの男の人は1人で牛タンの加工をしていた。

リーダーっぽい青年から、「おひるからもっとはやくしてね」と言われた。
はやくしないとこわいので、できる限りはやくした。

商品説明乗せ、ベルトコンベア通し、ダンボール詰めの一連の作業に、朝礼の読み上げをしていたベトナムの女の子が加わった。
余裕ができたので最初に行っていたスライス肉トレー乗せもした。スライス肉をトレーに乗せ、それをリーダーっぽい青年がパックし、商品説明を乗せ、ベルトコンベアに通し、ダンボール詰めをする。この繰り返し。

リーダーっぽい青年に「どう、むずかしい?」と聞かれ、遠慮して「そうですね」と答えると「ここがいちばんかんたんだからね」と言われた。

工場ではUSJジュラシックパークでしか聞いたことのないサイレン音がたまに流れた。

メガネの事務の女の人はずっと帰りたそうだった。

肉をトレーに乗せ、商品説明を乗せ、ベルトコンベアに通し、ダンボール詰めをする。肉をトレーに乗せ、商品説明を乗せ、ベルトコンベアに通し、ダンボール詰めをする。肉をトレーに乗せ、商品説明を乗せ、ベルトコンベアに通し、ダンボール詰めをする。

同じ単発バイトの人がずっと肉を触っていてキレたのか、結構でかい声で「脂多いねん!」と言っていた。

肉をトレーに乗せ、商品説明を乗せ、ベルトコンベアに通し、ダンボール詰めをする。肉をトレーに乗せ、商品説明を乗せ、ベルトコンベアに通し、ダンボール詰めをする。

たまに床に落ちている生肉を踏んでしまい、生肉を引き摺りながら移動した。

15時半ごろ、15分休憩があった。
わたしはトイレに行っていたのだが、戻ると「なんできゅうけいしつこなかった?」と聞かれた。
トイレ行ってから15分休憩でよかったのに、と言われいい文化だなあと思った。

75歳くらいの男の人はボイルされた鶏の皮を加工していた。

休憩から戻ってまた、肉をトレーに乗せ、商品説明を乗せ、ベルトコンベアに通し、ダンボール詰めをする。

16時半ごろ、一連の作業が終わった。

そこからミンチ肉を袋に詰める作業をした。
リーダーっぽい青年が機械でミンチ肉を作り、我々は1キロずつ袋に詰める。

だが計量器を支給されているのは1人だけだった。勘で1キロのミンチ肉を詰め、計量器を支給された人に渡して1キロにしてもらう。
なぜか先ほどまで使用していたもう1つの計量器をリーダーっぽい青年が使わせてくれなかった。

それが終われば17時まで10分ほどダンボールの組み立てをした。

リーダーっぽい青年の合図で勤務が終了した。

75歳くらいの男の人はずっとボイルされた鶏の皮を処理していた。

ヘッドキャップを外すと前髪が散らばり、おでこにはゴムの跡がびっしりついていた。